償却資産税とは?対象資産や注意点などを詳しく解説
実は、土地や家屋だけでなく、機械などの償却資産にも税金が掛かるのをご存じでしょうか?
本記事では、償却資産税について、対象資産や注意点などを詳しく解説していきます。
償却資産税とは?
固定資産税は、土地、家屋および償却資産に掛かります。
このうち、償却資産に掛かる固定資産税を「償却資産税」と言います。
なお、厳密には償却資産税という税目はありませんので、ご注意ください。
区分 | 対象資産 |
固定資産税 | 土地、家屋および償却資産 |
内、償却資産税 | 償却資産 |
償却資産の申告
申告の概要
法人、個人を問わず、1月1日現在で償却資産を有している場合、市区町村へ申告が必要となります。
項目 | 詳細 |
対象者 | 1月1日現在、償却資産を有する者 |
申告期限 | 1月31日 |
申告先 | 償却資産のある市区町村 |
税額
税額については、償却資産の申告を受けた市区町村が計算します。
税額:課税標準額×1.4/100
免税点
課税標準額が150万円未満の場合、償却資産税は掛かりません。
償却資産税の対象となる資産
償却資産税の対象は、下記となります。
対象となる資産
項目 | 具体例 |
構築物 | 舗装路面、庭園、看板(広告塔) |
機械及び装置 | 各種製造設備等の機械及び装置 |
船舶 | ボート、釣船、漁船 |
航空機 | 飛行機、ヘリコプター |
車両及び運搬具 | 大型特殊自動車 |
工具、器具及び備品 | パソコン、陳列ケース |
対象とならない資産
- 普通自動車、バイクなど(理由:自動車税等が別途課税されるため)
- 無形固定資産(ソフトウェアなど)
- 繰延資産(開業費など)
- 取得価額が10万円未満又は耐用年数1年未満かつ経費計上している資産
- 取得価額が20万円未満かつ3年で一括償却している資産
- 取得価額が20万円未満のリース資産
- 家屋(理由:固定資産税が別途課税されるため)
注意すべき資産
建物付属設備
建物付属設備は、通常、家屋として別途、固定資産税が掛かります。
そのため、償却資産税の対象ではありません。
しかし、家屋として評価されず、償却資産税の対象となる場合があります。
家屋となる建物付属設備
家屋として評価されるには、以下3つの要件が必要です。
- 家屋(建物)の所有者が所有している
- 家屋と構造上一体となっている
- 家屋の効用を高めている
例えば、床や壁、動力配線設備一式などが該当します。
なお、家屋(建物)を賃借している場合、上記の資産はすべて、償却資産税の対象となります。
償却資産となる建物付属設備
家屋と評価されなかった建物付属設備です。
例えば、変電設備一式や屋外の照明設備などが該当します。
少額資産
以下の少額資産は、償却資産税の対象となります。
- 中小企業特例により、取得価額30万円未満かつ経費計上している資産
- 少額であっても、減価償却をしている資産
リース資産
リース資産は、所有権の有無によって対象が変わります。
項目 | 申告 |
所有権移転外ファイナンスリース | 対象ではない |
所有権移転ファイナンスリース | 対象となる |
国税(法人税、所得税)との違い
国税(法人税、所得税)と地方税(償却資産税)の違いは、下記となります。
項目 | 国税 | 地方税 |
償却計算の基準日 | 事業年度(決算期) | 賦課期日(1月1日) |
減価償却の方法 | 定率法、定額法など | 旧定率法 |
前年中の新規取得資産 | 月割償却 | 半年償却 |
圧縮記帳 | あり | なし |
特別償却、割増償却、即時償却 | あり | なし |
評価額の最低限度 | 備忘価額(1円) | 取得価額の5/100 |
少額資産(中小企業特例) | あり | なし |
まとめ
今回は、償却資産税について、対象資産や注意点などを確認してきました。
とくに、対象資産の特定がポイントになるでしょう。
この記事を書いた人
髙谷 武司
同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。
会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。