保険外交員の確定申告で注意すべきポイントは?

保険外交員が受け取る外交員報酬は、事業所得として確定申告が必要です。
本記事では、保険外交員の確定申告で注意すべきポイントを解説していきます。

保険外交員の確定申告で注意すべきポイント

保険外交員の確定申告で注意すべきポイントは、以下の3つです。

  • 報酬の所得区分
  • 家内労働者等の必要経費の特例
  • 消費税の納税義務の判定

報酬の所得区分

保険外交員の報酬は、給与等と外交員報酬に分けた上で、それぞれの所得を計算します。

給与等と外交員報酬の区分

保険外交員が受け取る報酬は、以下のルールに従って分ける必要があります(所基通204-22)。

(1)業務に必要な旅費とそれ以外の部分が明らかに区分されている場合

  • 旅費:非課税
  • 旅費以外:給与等

(2)固定給とそれ以外の部分が明らかに区分されている場合

  • 固定給:給与等
  • 固定給以外:外交員報酬

(3)(1)及び(2)以外の場合

  • 総合的に勘案し、「給与等」と「外交員報酬」に分ける

保険外交員の報酬は、固定給と歩合給に区分されているのが一般的です。
この場合、(2)に該当するため、固定給は「給与等」、歩合給は「外交員報酬」となります。
なお、完全歩合制の場合は、報酬の全額が「外交員報酬」となります。

給与等と外交員報酬の所得区分

給与等と外交員報酬の所得区分は、下記となります。

  • 給与等(固定給):給与所得
  • 外交員報酬(歩合給):事業所得

なお、給与等および外交員報酬ともに源泉徴収されますが、年末調整は給与等のみが対象です。
そのため、外交員報酬がある場合は、確定申告が必要になります。

報酬区分所得区分源泉徴収年末調整
給与等(固定給)給与所得ありあり
外交員報酬(歩合給)事業所得ありなし

家内労働者等の必要経費の特例

保険外交員を含む「家内労働者等」の場合、実際にかかった経費の額が55万円未満であっても、必要経費として55万円まで認められる特例があります。

対象となる条件

家内労働者等の必要経費の特例は、以下の条件を満たす場合に対象となります。

  • 家内労働者等である
  • 事業所得または雑所得がある
  • 給与等の収入金額が55万円未満である

必要経費として認められる金額

必要経費として認められる金額は、雑所得がない場合、給与等の有無によって変わります。

事業所得のみである

実際にかかった経費の額が55万円未満の場合、必要経費として55万円まで計上できます。

事業所得と給与等がある

実際にかかった経費の額と55万円から給与等の収入金額を差し引いた残額を比べて、高い方を必要経費として計上できます。

(計算例)

  • 実際にかかった経費の額:10万円
  • 給与等の収入金額:30万円

10万円<25万円(55万円-30万円)
よって、25万円まで必要経費として計上できます。

消費税の納税義務の判定

消費税の納税義務は、原則として、基準期間における課税売上高が1,000万円以下かどうかで判定します。

そして、保険外交員の報酬は、消費税法上、以下に区分されます。

  • 給与等(固定給):不課税取引
  • 外交員報酬(歩合給):課税取引

そのため、消費税の納税義務は、外交員報酬(歩合給)のみで判定します。

まとめ

今回は、保険外交員の確定申告について確認しました。
多くの場合、報酬の所得区分が大きなポイントとなります。
保険外交員の方は、上記に注意して確定申告を行ってみてください。

この記事を書いた人

髙谷 武司

同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。

会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。