未納付の源泉徴収税額がある場合の対応方法

本記事では、未納付の源泉徴収税額について、その内容と還付手続きを解説していきます。

未納付の源泉徴収税額とは?

例えば、12月の売上高について、その回収が1月になる場合があります。
この場合、取引先は1月に源泉徴収するため、12月末時点では源泉所得税が未納付となります。
この未納付分を「未納付の源泉徴収税額」と言います。

確定申告の取り扱い

確定申告書では、第一表の未納付の源泉徴収税額(60)に金額を記載します。

所得税が納税になる場合、当年度の源泉徴収税額として、納税額から控除します。

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還付になる場合、還付金は、未納付分を控除して計算します。

(前提)

  • 還付される税金:200,000
  • 未納付の源泉徴収税額:30,000

(計算)

  • 還付金:200,000-30,000=170,000

この結果、銀行等に振り込まれる還付金は、170,000円となります。

では、還付されなかった30,000円はどうなるのでしょうか?

未納付の源泉徴収税額に対する還付手続

上記例の30,000円は、「源泉徴収税額の納付届出書」を提出することで、還付を受けることとなります。
この届出書は、取引先が源泉所得税を納付した後に提出可能となります。

所得税法施行令
(確定申告による還付)
第二百六十七条 法第百三十八条第一項(源泉徴収税額等の還付)又は第百三十九条第一項若しくは第二項(予納税額の還付)の規定による還付金の還付を受けようとする者は、確定申告書に次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該還付金の支払を受けようとする銀行又は郵便局(簡易郵便局法(昭和二十四年法律第二百十三号)第二条(定義)に規定する郵便窓口業務を行う日本郵便株式会社の営業所であつて郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第九十四条(定義)に規定する郵便貯金銀行を銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第十六項(定義等)に規定する所属銀行とする同条第十四項に規定する銀行代理業の業務を行うものをいう。)の名称及び所在地
二 当該還付金の額のうちにまだ納付されていない法第百三十八条第二項に規定する源泉徴収税額に相当する金額があるときは、当該金額
三 その他参考となるべき事項
2 前項の規定による記載をした確定申告書を提出する場合において、その年中の各種所得につき源泉徴収をされた所得税の額があるときは、当該申告書に、当該所得税の額が源泉徴収をされた事実の説明となるべき財務省令で定める事項を記載した明細書を添附しなければならない。
3 第一項第二号に掲げる金額を記載した確定申告書を提出した者は、同号に規定する源泉徴収税額の納付があつた場合には、遅滞なく、その納付の日、その納付された源泉徴収税額その他必要な事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、第一項に規定する還付金に係る金額の記載がある確定申告書の提出があつた場合には、当該金額が過大であると認められる事由がある場合を除き、遅滞なく、法第百三十八条第一項又は第百三十九条第一項若しくは第二項の規定による還付又は充当の手続をしなければならない。
5 被相続人に係る第一項に規定する還付金の還付を受けようとする相続人が二人以上ある場合において、当該還付金に係る確定申告書を第二百六十三条第二項本文(相続人による確定申告書の提出)の規定により連署による一の書面で提出するときは、当該申告書には、当該還付金の額を各人別に記載しなければならない。

まとめ

今回は、未納付の源泉徴収税額について、その内容と還付手続きを見てきました。
所得税が還付の場合、源泉徴収税額の納付届出書を忘れずに提出することが大事になります。

この記事を書いた人

髙谷 武司

同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。

会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。