一括償却資産とは?内容や仕訳を分かりやすく解説

本記事では、一括償却資産の内容や仕訳について解説していきます。

この記事を書いた人

髙谷 武司

同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。

会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。

一括償却資産とは?

一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の減価償却資産であり、3年で償却するものを言います(法人税法施行令第133条の2)。

【一括償却資産】

  • 減価償却資産
  • 取得価額が20万円未満(*1)
  • 3年で償却(*2)

(*1)取得価額について

一括償却資産は、10万円以上20万円未満の減価償却資産と説明されることがあります。
これは、10万円未満の資産は経費で処理することを前提としています。

(*2)償却について

実際は「事業年度の月数 / 36月」となります。
なお、月割り計算はありません。

一括償却資産の仕訳方法

一括償却資産の仕訳は、一般的に、以下2つの方法があります。

【仕訳方法】

  • 申告調整方式
  • 決算調整方式

申告調整方式

申告調整方式とは、確定申告書で損金不算入の調整をする方式です。
具体的には、購入した一括償却資産をすべて経費で処理し、確定申告書で損金不算入部分を加算します。

【例】15万円の減価償却資産を購入した。

(購入)

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
消耗品費150,000現金150,000

(税務調整)

150,000 - 150,000 × 12/36=100,000(加算、留保)

決算調整方式

決算調整方式とは、通常の固定資産と同様に処理する方式です。

【例】15万円の減価償却資産を購入した。

(購入)

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
一括償却資産150,000現金150,000

(決算仕訳)

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
減価償却費50,000一括償却資産50,000

なお、決算調整方式の場合、通常の固定資産と同様、任意償却が可能となります。

除却等をした場合の対応

一括償却資産を除却等した場合でも、必要経費にする金額は変わりません。
つまり、3年で償却する形となります。

法人税基本通達
(一括償却資産につき滅失等があった場合の取扱い)
49-40の2 令第139条第1項に規定する一括償却資産につき同項の規定の適用を受けている場合には、その一括償却資産を業務の用に供した年以後3年間の各年においてその全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときであっても、当該各年においてその一括償却資産につき必要経費に算入する金額は、同項の規定に従い計算される金額となることに留意する。(平11課所4-1追加)

(注) 一括償却資産の全部又は一部を譲渡した場合についても、同様とする。

除却

【例】前期に購入した15万円の減価償却資産を当期に除却した(決算調整方式)。

(除却)

必要経費の額は、減価償却の額となるため、固定資産除却損は計上しません。

(決算仕訳)

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
減価償却費50,000一括償却資産50,000

売却

【例】前期に購入した15万円の減価償却資産を当期に2万円で売却した(決算調整方式)。

(売却)

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金20,000固定資産売却益20,000

一括償却資産を売却した場合、売却金額を固定資産売却益として計上します。

(決算仕訳)

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
減価償却費50,000一括償却資産50,000

まとめ

今回は、一括償却資産の内容や仕訳について見てきました。
とくに、除却等をした場合の対応が通常の固定資産と異なるため、注意が必要です。