消費税の課税売上割合とは?
本記事では、消費税の課税売上割合について解説していきます。
この記事を書いた人

髙谷 武司
同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。
会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。
仕入控除税額の計算
課税売上割合は、仕入控除税額の計算で重要となります。
そのため、まずは、仕入控除税額の計算方法について見ていきます。
計算方法(95%ルール)
仕入控除税額の計算方法は、課税売上高と課税売上割合によって異なります(消費税法第30条)。
特に、課税売上割合は95%以上かどうかで異なるため、「95%ルール」と呼ばれます。
【計算方法】
- 課税期間中の課税売上高が5億円以下で、かつ課税売上割合が95%以上
- 消費税額の全額を控除
- 課税期間中の課税売上高が5億円超または課税売上割合が95%未満
- 個別対応方式
- 一括比例配分方式
以下、個別対応方式と一括比例配分方式について確認します。
個別対応方式
個別対応方式では、消費税額を以下3つに区分します。
【消費税額の区分】
- 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの(課税対応仕入)
- 非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの(非課税対応仕入)
- 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの(共通仕入)
そのうえで、次の算式により、仕入控除税額を計算します。
【個別対応方式】
仕入控除税額=課税対応仕入+(共通仕入 × 課税売上割合)
このように、共通仕入に係るものは、課税売上割合の分だけ、仕入控除が認められます。
一括比例配分方式
一括比例配分方式では、次の算式により、仕入控除税額を計算します。
【一括比例配分方式】
仕入控除税額=課税仕入れ等に係る消費税額 × 課税売上割合
このように、消費税額は、課税売上割合の分だけ、仕入控除が認められます。
課税売上割合
以下、課税売上割合について見ていきます。
計算式
課税売上割合とは、総売上高に対する課税売上高の割合を言います。
【計算式】
- 課税売上割合=課税売上高(税抜き)/ 総売上高(税抜き)
課税売上高および総売上高は、以下の算式によります。
- 課税売上高=課税売上高+免税売上高
- 総売上高=課税売上高+免税売上高+非課税売上高
【注意点】
- 貸倒れになった売上高を含みます。
- 売上げについて返品を受け、または値引、割戻し等を行った場合は、それらに係る金額を控除します。
- 有価証券等の譲渡対価の額は、その譲渡対価の額の5%に相当する金額とされています(消費税法施行令48-5)。
具体例
【前提】
- 課税売上高:5,000
- 免税売上高:3,000
- 非課税売上高:2,000
- 不課税売上高:1,000
【計算】
課税売上割合:(5,000+3,000)/(5,000+3,000+2,000)=80%
よって、消費税額の全額を控除することは出来ず、個別対応方式または一括比例配分方式のうち、どちらか有利な方を選択することになります。
課税売上割合に準ずる割合
例えば、臨時的に土地を売却した場合など、課税売上割合が事業の実態を反映しないことがあります。
このような場合、課税売上割合に代えて、課税売上割合に準ずる割合によって仕入控除税額を計算することもできます。
まとめ
今回は、消費税の課税売上割合について見てきました。
課税売上割合は、仕入控除税額の計算で重要になるため、しっかりと理解しましょう。

