飲食店の「まかない」は給与になるって本当?

本記事では、飲食店のまかない代について解説していきます。

この記事を書いた人

髙谷 武司

同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。

会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。

「まかない」は給与になる?

まかない代を従業員が負担しない場合、その負担しない部分は給与となります。
これは、負担しなかった部分を現物支給と見なすためです。
ただし、例外として、福利厚生費とすることも認められています。

(まかない代)

  • 原則:給与
  • 例外:福利厚生費

福利厚生費にするには?

まかない代を給与とした場合、従業員の所得税や社会保険料などが増加することになります。
そのため、福利厚生費にした方が従業員にとって有利となります。

福利厚生費にする要件

まかない代を福利厚生費にするには、以下2つの要件を満たす必要があります(所基通36-38の2)。

(福利厚生費にする要件)

  1. 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
  2. 次の金額が1か月当たり3,500円(税抜)以下であること
    (食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

なお、以下の場合は、上記に関係なく福利厚生費となります。

  • 深夜勤務者に夜食の支給ができないため、1食当たり300円(税抜)以下の金額を支給する場合
  • 残業または宿日直を行うときに支給する食事

食事の価額

食事の価額は、下記となります(所基通36-38)。

(食事の価額)

  • 弁当などを購入して支給している場合には、業者に支払う購入金額
  • 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額

例えば、飲食店で提供されるまかないは、材料費や調味料などの直接原価が食事の価額となります。

具体例

食事の価額が10,000円/月で、従業員の負担が7,000円と5,000円の場合、負担しない部分はどの科目になるでしょうか?

(例)食事の価額:10,000円/月

従業員の負担額負担しない額科目
7,000円3,000円福利厚生費
5,000円5,000円給与

従業員の負担額が7,000円の場合、食事の価額の半分以上を負担し、かつ負担しなかった金額(3,000円)が3,500円以下のため、負担しない部分は、福利厚生費となります。

一方、従業員の負担額が5,000円の場合、食事の価額の半分以上を負担しているものの、負担しなかった金額(5,000円)が3,500円以上のため、負担しない部分は、給与となります。

なお、給与の金額は、負担しなかった部分(5,000円)となります。

仕訳

上記の具体例を仕訳にすると、以下となります。

(従業員の負担が7,000円の場合)

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金7,000雑収入7,000
福利厚生費3,000雑収入 or 仕入3,000

(従業員の負担が5,000円の場合)

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金5,000雑収入5,000
給与5,000雑収入 or 仕入5,000

まかない代のうち、従業員の負担額は、雑収入(売上)となります。
一方、負担しない部分は、給与もしくは福利厚生費とします。

まとめ

今回は、飲食店のまかない代について見てきました。
まかない代は、従業員の負担次第で、福利厚生費にすることができます。
どうするかは、従業員にとってのメリットを考慮することが大事になるでしょう。