ETC利用時のインボイス対応はどうする?
高速道路等でETCを利用した時、インボイスとして何を保存すべきでしょうか?
本記事では、ETC利用時のインボイス対応について解説していきます。
この記事を書いた人

髙谷 武司
同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。
会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。
支払方法によって、インボイスは異なる
ETCを利用したときのインボイスは、支払方法によって異なります。
支払方法 | インボイス | 受取方法 |
---|---|---|
現金 | 領収書 | 料金所 |
クレジットカード | 利用証明書 | 料金所 |
ETCクレジットカード | 利用証明書 | ETC利用照会サービス |
ETCパーソナルカード | 請求書 | 事務局から送付 |
ETCコーポレートカード | 請求書 | 事務局から送付 |
上記のうち、現金およびクレジットカードは、料金所で受け取る領収書等がインボイスとなります。
また、ETCパーソナルカードおよびETCコーポレートカードは、各事務局から送付される請求書がインボイスとなります。
ここで論点となるのが、ETCクレジットカードで支払った場合です。
クレジットカード会社が発行するクレジットカードの利用明細書は、一般的に、インボイスに該当しません。
そのため、クレジットカードの利用明細書だけでは、仕入税額控除が認められません。
ETCクレジットカードでの支払いは、原則として、ETC利用照会サービスよりダウンロードする「利用明細書(簡易インボイス)」が必要となります。
しかし、高速道路等を頻繁に利用する場合、そのたびに利用明細書をダウンロードするのは、非常に手間がかかります。
そのため、ETCクレジットカードを利用した場合は、インボイスの保存要件が緩和されています。
ETCクレジットカード利用時のインボイス対応
ETCクレジットカード利用時に保存すべき書類は、以下の通りです。
(ETCクレジットカード利用時に保存すべき書類)
- 原則
- すべての利用明細書
- 特例
- クレジットカードの利用明細書
- 任意の一取引に係る利用明細書(場合によっては不要)
原則による対応
ETCクレジットカードで利用したすべての利用明細書につき、ETC利用照会サービスからダウンロードのうえ、保存する必要があります。
特例による対応
高速道路等の利用が頻繁にあるなど、すべての利用明細書の保存が困難な場合は、特例による対応が認められています。
特例では、クレジットカードの利用明細書と利用した高速道路会社等の任意の一取引に係る利用明細書を併せて保存することで、仕入税額控除が可能となります。
複数の高速道路会社等を利用した場合は、高速道路会社等ごとに任意の一取引が必要となります。
しかし、クレジットカードの利用明細書ごとに保存する必要はなく、利用した高速道路会社等ごとに、1回のみの取得および保存で事足ります。
さらに、ETC利用照会サービスにおいてダウンロードできる期間(15か月)に、繰り返し同じ高速道路会社等を利用している場合は、いつでもダウンロードできる状態にあるため、結果として、利用明細書のダウンロードは不要となります。
そのため、この場合は、クレジットカードの利用明細書だけで、仕入税額控除が可能となります。
ETCにもインボイスの少額特例は適用できる
少額(税込1万円未満)の課税仕入れについては、インボイスの保存がなくとも仕入税額控除が可能となる特例(少額特例)があります。
この少額特例は、ETCの利用においても適用されます。
(少額特例)
- 期間
- 2023年10月1日~2029年9月30日
- 金額
- 税込1万円未満(一取引ごと)
- 対象(いずれかに該当)
- 基準期間の課税売上高が1億円以下
- 特定期間の課税売上高が5,000万円以下
※基準期間および特定期間について
期間 | 法人 | 個人事業主 |
---|---|---|
基準期間 | 前々事業年度 | 前々年 |
特定期間 | 期首から6か月 | 1月~6月 |
まとめ
今回は、ETC利用時のインボイス対応について見てきました。
ETCクレジットカードを利用する場合、各特例を活用することで、経理の手間が省けます。
そのため、各特例について理解し、是非とも経理に活用してみてください。