消費税の課税事業者と免税事業者の判定
本記事では、消費税の課税事業者と免税事業者の判定方法を解説していきます。
基本となる判定
消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合、納税義務が免除されます。
ここからは、以下2点について、詳しく見ていきます。
- 基準期間
- 課税売上高
基準期間
基準期間は、2年前の課税期間となります。
- 個人事業主:前々年
- 法人:前々事業年度
なお、基準期間が1年未満の場合は、法人のみ、年換算する必要があります。
この場合、1か月に満たない端数は、1か月として換算します。
(前提)
- 基準期間の月数:7.5か月
- 基準期間の課税売上高:800万円
(判定)
- 年換算:800万円 / 8か月 × 12=1,200万円
- 判定:課税事業者
課税売上高
課税売上高は、課税取引の売上金額と輸出取引などの免税売上金額の合計額から、売上返品や売上値引き、売上割戻しなどの合計額を控除した残額をいいます。
課税売上高=課税売上+免税売上ー売上返品等
では、課税売上や売上返品等は、税込と税抜のどちらで判定するのでしょうか?
これは、基準期間の納税義務によって変わります。
- 課税事業者:税抜
- 免税事業者:税込
例外となる判定
基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、以下の場合は、課税事業者となります。
- 特定期間の課税売上高等が1,000万円を超える
- 資本金(出資金)の額が1,000万円を超える
- その他
特定期間の課税売上高等が1,000万円を超える
特定期間の課税売上高等が1,000万円を超える場合、課税事業者となります。
ここからは、以下2点について、詳しく見ていきます。
- 特定期間
- 課税売上高等
特定期間
特定期間とは、前課税期間の前半6ヶ月を言います。
- 個人事業主:前年の1月1日~6月30日
- 法人:前事業年度開始の日以後6か月間
なお、新規開業等により、前課税期間が1年未満の場合は、以下となります。
- 個人事業主:開業日~6月30日
- 法人:下表のとおり
前事業年度 | 特定期間 |
---|---|
8か月超 | 設立日から6か月間 |
7か月超8か月未満 | 設立日から期末日の前月の末日 |
7か月以下 | 特定期間なし |
また、決算期変更により、前事業年度が1年未満となった場合は、「短期事業年度」として取り扱います。
課税売上高等
特定期間による判定では、課税売上高と給与等支払額の合計額の2つが基準となります。
そのため、以下2つを両方満たす場合、課税事業者となります。
- 課税売上高が1,000万を超える
- 給与等支払額の合計額が1,000万円を超える
資本金(出資金)の額が1,000万円を超える
下記2つを満たす場合、課税事業者となります。
- 基準期間がない事業年度である
- 事業年度開始の日における資本金(出資金)の額が1,000万円を超える
そのため、以下のような場合は、判定の対象外となります。
- 設立から3年が経過している
- 期中の増資により、資本金が1,000万円を超えた
その他
その他、以下の場合に、課税事業者となります。
- 相続により事業を承継した年
- 特定新規設立法人に該当する
- 吸収合併のあった事業年度
- 吸収分割のあった事業年度
- その他
まとめ
今回は、消費税の課税事業者と免税事業者の判定方法を見てきました。
基本となる判定でも、注意点がいくつかあります。
判定を誤ると、その後の手間が膨大になるので、消費税の納税義務の判定は、慎重に行いましょう。
この記事を書いた人

髙谷 武司
同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。
会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。