源泉所得税の納期の特例とは?要件を詳しく解説
本記事では、源泉所得税の納期の特例について、要件を中心に解説していきます。
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源泉所得税の納期の特例とは?
源泉徴収した所得税は、原則として、給与等を支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。
しかし、源泉所得税の納期の特例を適用すれば、半年分まとめて納付することができます。
- 原則:支払った月の翌月10日までに納付
- 特例:半年分をまとめて納付
(特例の納付期限)
- 1月~6月の源泉徴収分:7月10日までに納付
- 7月~12月の源泉徴収分:翌年1月20日までに納付
対象となる源泉所得税
対象となる源泉所得税は、給与等および税理士等への報酬に限られます。
- 給与、退職金
- 税理士、弁護士、司法書士などの報酬
原稿料や講演料など、源泉徴収が必要な他の報酬・料金等には適用されないため、注意が必要です。
特例の要件
源泉所得税の納期の特例は、以下2つの要件があります。
- 給与の支給人員が常時10人未満である
- 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出している
給与の支給人員が常時10人未満である
特例の適用を受けるには、給与の支給人員が常時10人未満である必要があります。
では、「常時10人未満」は、どのように判定するのでしょうか?
所得税基本通達216-1には、このように記載されています。
所得税基本通達
(常時10人未満であるかどうかの判定)
216-1 法第216条かっこ内に規定する「給与等の支払を受ける者が常時10人未満である」かどうかは、給与等の支払を受ける者の数が平常の状態において10人未満であるかどうかにより判定するものとし、次のような場合には、それぞれ次による。(1) 繁忙期には臨時に使用した人数を含めると10人以上となるが、平常は10人未満である場合には、常時10人未満であるものとする。
(2) 建設業者のように労務者を日々雇い入れることを常態とする場合には、たとえ常雇人の人数が10人未満であっても、日々雇い入れる者を含めると平常は10人以上となるときは、常時10人未満ではないものとする。
常時10人未満とは、平常の状態において、10人未満であるかどうかで判定します。
そのため、繁忙期に臨時で雇用したアルバイト等は対象外となります。
なお、日雇い労働が常態の場合、日雇い労働者も判定の人数に含めます。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出している
特例の適用を受けるには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出します。
そして、申請書を提出した月の翌月末日までに却下の通知がなければ、申請の翌々月の納付分から特例が適用されます。
(例)2月に申請書を提出した
- 2月支給分:3月10日までに納付
- 3月~6月支給分:7月10日までに納付
なお、給与の支給人員が常時10人以上となった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」の提出が必要となります。
まとめ
今回は、源泉所得税の納期の特例について、要件を中心に見てきました。
この特例を適用すれば、源泉所得税の納付の手間が省けます。
要件を確認して、積極的に活用しましょう。
この記事を書いた人
髙谷 武司
同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。
会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。